日本酒は、季節や料理に合わせて、燗・ひや・冷酒など様々な温度で楽しまれています。近年、よい日本酒は「ひや」で呑むのが常道とされる傾向が一部で見られますが、気分や体調また併せる肴や料理によって最適解はさまざまに変化するなか、燗酒は世界的にはやや珍しい、しかし日本人に馴染み深い酒の呑み方と云えるでしょう。
寒い季節が到来すると、晩酌の熱燗が恋しくなる。温かい酒をキュッと一杯口にすれば、冷えた手脚や心までもがほっと緩んでくる。寒さに強張った、また日々のストレスで固くなった心と体をやさしくほどく、私たち日本人にとって、燗酒は「癒し」であり「安らぎ」の文化なのです。
燗をひとつ”上等”に、美味しく愉しめるように──。
楽燗(ら・かん)は、そうして産み出されました。
酒燗器とは「お酒を燗する道具」。ですが、酒を注いで温まるのを待ち – 呑む、ただそれだけの道具ではあまりにも味気なく、何よりそこに「粋」がありません。道具を道具としてのみ捉えるのではなく、酒燗器そのものが場を演出することはできないだろうか。
酒が好みの温度に温まるまでの過程も、呑んでいる間も、その時間を楽しめるように思案に思案を重ねました。その結果、陶器の本体(燗陶壺)と錫器のちろりを合わせ、 ろうそくの炎で温度を保つ方式が考案されたのです。
楽燗を構成する陶器と錫器は、いずれも第一線で活躍する作家の手による工芸品です。その使用感、風情、存在感は遊び心に溢れています。酒を燗しながら、呑みながら、ゆらゆらと揺れるろうそくの灯を眺めると、その素朴な美しさに酔いしれることでしょう。
さぁ、あなたも酒を燗する愉しみを、その時間と空間を愉しむ「粋」を体験してください。
懐古的、しかし新しい
呑みの空間に革新を
陶器の作家と錫器の作家が出逢い共作することで、単なる道具を超えた、かつてない酒燗器が誕生しました。 陶器の風合いと存在感、錫のやわらかな光沢と機能性、古くから酒器として馴染みの深い素材を用い、伝統的技法でひとつひとつ手作りをしています。
確かな工芸品としての繊細さと風格が、酒席の風景に彩りを与えてくれるのです。
実用性と美しさに
娯楽と癒しを兼ね備えた佇まい
酒の味をまろやかにすると言われる錫製の「ちろり」は熱伝導がよく、お好みの温度の燗が素早くつかります。 燗の温度は、燗陶壺に収めた燗風呂に適温のお湯を注ぎ火皿で微調節するのですが、酒を温め、注ぎ、保温しつつ呑む、その一連の所為が左党の遊び心を絶妙にくすぐります。また、火種のろうそくの揺れる炎が一日の疲れを癒やし、あなたの心を落ち着かせることでしょう。
団欒、祝賀、哀悼、ほっこり、しんみり
あらゆる酒席に調和する瀟洒なツール
家族や友人と集まって話に花を咲かせる酒宴、しっとりと落ち着いた雰囲気に浸りたい、独りで自分と向き合いたい、楽しいとき、めでたいとき、淋しいとき、悲しいとき、楽燗はいつでもその気持ちに寄り添います。
今夜は、呑み方や呑む時間の過ごし方にも、少しこだわってみませんか。