黄瀬戸(楽燗クラシック)
鎌倉・室町時代に、瀬戸猿投窯(現 愛知県瀬戸市周辺)において生産された灰釉陶器(古瀬戸)の流れをくみ、桃山時代の美濃窯(現 岐阜県東濃地方)にて生産された黄瀬戸。焼成が極めて難しく、生産数も少なく、茶の湯の世界でも珍重され「黄金の器」とも称されました。
「アブラゲ肌」… 油揚げの様な凹凸と艶のある釉肌、「コゲ」… 釉の濃淡(の淡の部分)に生ずる茶褐色、「タンパン」… 銅を主成分とする緑釉の発色の良し悪し など、鑑賞の約束事も多く、複雑な妙味が好まれています。
楽燗クラシックは、作家自ら山へ入り伐採した薪から作った灰を水簸精製した雑木灰を主成分とし、長石、珪石など十数種の原料とのブレンドと、ガス窯による焼成法を長年にわたり研究した黄瀬戸釉を用い、燗陶壺に再現しました。
落ち着いた銅の燗風呂とのコントラストをお楽しみください。
緑釉(楽燗ナチュラル)
桃山時代、織田信長に仕えた武将 古田織部の指揮のもと、茶道具・茶懐石の食器を中心に、美濃窯において盛んに焼成された織部焼き。後に徳川の世となり、大阪方への間諜容疑を掛けられた古田織部の失脚に伴い一時姿を消すものの、現在も美濃地方に留まらず他の窯業地においても織部に取り組む陶芸作家もあり、愛好家に広く愛されています。
その織部焼きの象徴といえる酸化銅を発色材に用いた緑の釉を、作家独自の調合と焼成法により、五月山の木の芽吹き -萌黄色- を思わせる風合いに仕上げました。
春の風のような、ぬる目のお燗で、さわやかな”酒のヒトトキ”を過ごして頂ければ幸いです。
黒釉(楽燗アーバン)
天正年間(1573〜1591)茶匠 千利休の命により京の都で焼かれた黒楽茶碗。時を同じくして美濃窯でも、瀬戸黒(引出し黒)と呼ばれる黒い茶碗が焼かれました。以後、茶の湯の世界で「黒」は至上の色とされて来ました。美濃地方で通称「鬼板」と呼ばれる含鉄土石をベースにした黒い釉は、その後、織部黒などに引き継がれ多彩を極めてゆきます。
作家は、地元岩村の山中にて含鉄土石の鉱脈を発見し、黒色の釉を研究してきました。その釉に、マンガン・クロムなどの金属を添加した上タルクなどの失透性分を加えることによりできた黒色の釉をご覧ください。
漆黒の燗陶壺に真鍮と錫の光沢が映え、艶のある仕上がりとなった楽燗アーバンで、特別な時間を燗酒をともに過ごしてみてはいかがですか?
錫(ちろり)
柔らかく、熱伝導に優れ、変質しにくく安定した金属である「錫」。錆びることがなく、人体に無害であり、あたりが柔らかい特徴があります。
古くから酒を美味しくすることで知られ、酒器として使われてきました。特に熱伝導に優れることから燗酒を温めるちろりとしては高級品として日本酒愛好家垂涎の逸品となっています。素早く芳醇に燗酒をつけることができ、今までの燗酒とはひと味上の美味しさを味わっていただけることと思います。変質しにくいことから扱いも簡単で、普段お使いの食器と同様に取り扱える点も魅力です。
市松模様(楽燗クラシック)
二種類の正方形を交互に格子状に並べた模様。
古くは古墳時代の埴輪からすでに使われており、正倉院などにもこの模様を使用した御物が納められています。江戸時代の歌舞伎役者、佐野川市松がその衣装に使用したことから「市松模様」と呼ばれていますが、それ以前も「石畳模様」として知られていました。ベーシックでクラシカルでありながらも華やかな印象を与えてくれる模様です。
石目模様(楽燗ナチュラル)
割れた石の肌をハンマーで叩き、その肌合いをハンマーの打面に写し取った模様です。
そのハンマーを用い、錫の表面を叩くことによってちろりに整形し、表面に石の肌合いそのままの模様として施しました。自然石の肌合いそのままの模様のため、ナチュラルで素朴な印象を与えます。
縞模様(楽燗アーバン)
直線を平行に並べた模様。
織物の発生とともに自然発生的に生まれ、そのため歴史は古く、あらゆる民族が使用しています。西洋ではストライプと呼ばれています。普遍性があり、スッキリとスタイリッシュで洗練された印象を持ち、特に縦縞はシルエットを細く見せてくれることから洋の東西を問わず衣服に多用されています。
銅(楽燗クラシック / 燗風呂・鐶・火皿)
身近なところでは10円玉に使用されているほか、神社仏閣の屋根、金属端子等にも多く使用されています。
別名「あかがね」と呼ばれる通り、赤い金属光沢を有し、経年変化により美しい茶色に変色していきます。大切に使い込むことで独特の色艶に変化するため、そのことを指して「育てる」と表現します。自分なりの色艶にお育ていただければと思います。
常に濡れている環境では緑色の錆、緑青が発生することがありますが毒性はありません。ご使用後は水分をぬぐいとり、乾燥した状態で保管ください。
真鍮(楽燗ナチュラル・アーバン / 燗風呂・鐶・火皿)
銅と亜鉛の合金で、美しい金色の輝きを持ち、銅よりも変質しにくい特徴があります。身近なところでは5円玉に使用されているほか、腐食に強いことから船具にも多く使われています。
常に濡れている環境では緑色の錆、緑青が発生することがありますが毒性はありません。ご使用後は水分をぬぐいとり、乾燥した状態で保管ください。